マグネシウム合金鋳物をアルミニウム合金鋳物の代替材として使用する際のメリットとデメリットは

 マグネシウム合金鋳物の最大のメリットは,何と言っても実用金属材料中,最軽量という点です.良く用いられるマグネシウム合金鋳物にはAZ91合金ありますが,比重は1.82となりアルミニウム合金材の約2/3になります.そして,軽量であることから比強度(強さ/重量)も実用金属材料中最も大きな材料です.軽量以外のメリットとしては,振動エネルギー吸収しやすく高い減衰能や制振性があること,衝突時に発生するくぼみが小さく耐くぼみ性が高いこと,切削抵抗がアルミニウム合金の約1/2と小さく切削性が良好なことなどが挙げられます.

 一方,デメリットとしては,マグネシウム合金は活性なため大気中でも酸化しやすく,アルミニウム合金鋳物と比較してもかなり耐食性が悪いことです.特に,屋外等で使用する場合,実用金属中最も耐食性が低い材料です.また,容量の大きいマグネシウム合金鋳物自体は容易に燃焼することはありませんが,機械加工などにより細くなった切粉の取り扱いについては特別な注意が必要です.火災による災害は,機械加工中の微細なマグネシウム片に起因することが多く,また,湿ったマグネシウム粉は可燃性の水素を発生しやすくなります.加えて,溶融したマグネシウム合金は非常に活性なため,溶解時には燃焼しやすく大気との遮断が必要になります.

(『鋳造工学』89巻1号掲載)