包晶のイメージについて教えてください

包晶は,高融点と低融点の金属を組み合わせた合金でよく現れます.Fe-C系のδ相とγ相の反応,銅合金のCu-Sn系,Cu-Zn系で見られます.図1に示すような状態図を包晶系状態図といいます.EーFの線の包晶温度T2では,液相はα相,β相と平衡であり,L+α→βという包晶反応が起こることを示しています.固相内での溶質拡散が速く,平衡状態図に従う場合には,xの組成の合金でこの反応が進めば,図2(a)の状態から,液相の減少とともに,β相がα相に変換して(図2(b))包晶温度以下ではβ相の単相になります.(図2(c))

 実際にはこの反応が進むには固相内の拡散が必要ですので,反応は遅く,通常の凝固速度では,x組成の場合でも,α相が晶出した後(図2(a)),β相が晶出し(図2(d)),α相の廻りをβ相が包み込むような2相の凝固組織(図2(e))になることも多いです.

図2 包晶系合金の凝固組織形成

(『鋳造工学』89巻4号掲載)