鋳造の始まりは,いつ,どこ?
紀元前3,000年ごろにメソポタミアの南部に国家都市を建設したシュメール人が残した人類最古の粘土板の中に,鍛冶工や銅を意味する絵文字が書かれています.また,この地方を流れるチグリス・ユーフラテス川の上流は古代の銅鉱石の産地であり,青銅製の武器や装飾品がシュメール国王たちの墓から出土していることからも,この地域が鋳物づくりのはじまりと考えられています.きっかけは,たき火をするうちに偶然始まったと言われています.日本には紀元前300年ごろに中国大陸から朝鮮半島を経て北九州の海岸地帯に鋳造技術が伝わりました.日本で鋳物づくりが始まったのは,出土した鋳型の年代などから推定して弥生時代中期(紀元前100~紀元100年)であろうと考えれています.
(『鋳造工学』90巻9号掲載)