K値の算出方法について,文献等には「K値=全介在物数/観察試片数」「2破面をもつ試片を1片と数える」と載っています.では,短冊状平板を5~6片に割った両端の試片は、片側1破面しかないので評価対象外となるのでしょうか? 片側のみの破面でも使用しても良いのでしょうか?

Kモールド法における試料採取では、短冊状試料を2本以上採取し、各試料から両側に破面を持つ観察用試片を5片以上採取し、合計10片以上としてK値を計算します.

ただし、片側のみの破面でも使用して結構です.湯口部、先端部等を使用する場合はどうしても片側しか破面が出ていないので、この場合は必ず0.5片として計算してください.

したがいまして、お答えとしては“片側のみの破面でも使用してよい.ただし、0.5片としての扱いにする.”ということになります.

実作業においては、上記のような,片側だけにしか破面が得られない短冊状試料の両端部を使用しなくても良いように、両側に破面を持つ試片が5片得られるような破断作業をおこない、各短冊状試料からの試片5片ずつを束ね、これを2試料分、2束での介在物数合計を求めた結果から、1試片あたりの介在物数“K値”を算出する方法が一般的です.

ただし、粘性が高い合金や溶湯温度が低い合金溶湯の場合など、流動性が悪い溶湯から試料を採取せざるを得ない場合では、健全な短冊状試料が得られず短くなる場合が多いので、上記のような片側のみに破面がある試験片を使用せざるを得ないでしょう.

(『鋳造工学』90巻11号掲載)