ダイカストについて初心者なのですが,ダイカストのオーバーフローについて,役割は理解したのですが仕組みがよく分かりません.なぜ金型に空間を設けることで,ガスや酸化物,介在物を排出できるようになるのでしょうか.そのメカニズムを教えて頂きたいです.

 オーバフローの役割にガスや酸化物,介在物を排出すると教科書等に記載されていますが,実際のところは,①ガス抜きや溶湯合流部にオーバフローを設置してガスのトラップによる湯じわを無くすこと,②金型温度が冷えることで起きる離型剤の乾燥不足による水残りや充填不良を無くすこと,③製品部に押出座が設置できない場合の押し出し座として使われています.小さい製品では,湯先の酸化物などを排出する効果も期待できます.

 この場合は,溶湯が最後に充填される位置にオーバフローを設置することが大切で,最後に流れてきた汚れた溶湯をオーバフローに排出することで実現できます.

いずれの場合もオーバフローの設置位置が重要です. 

日本鋳造工学会HPのQ&A事例サイトも参考にしてください.

Q&A事例(2)非鉄 http://jfs.or.jp/jfs-honbu/q_a/qa_hitetsu/

・HPDCにてオーバーフローを設計する際の考え方はありますか?

・「アルミニウム合金ダイカストで,ゲート断面積やオーバーフロー断面積の厚みと幅で理想的な比率はあるのでしょうか?

(『鋳造工学』91巻2号掲載)