ご挨拶

~会長就任のごあいさつ~

∼Inaugural Message from the President∼

令和6年5月に開催された定時社員総会後の理事会におきまして,公益社団法人日本鋳造工学会の令和6・7年度の会長という大役を拝命いたしました.日本鋳造工学会は,昭和7年(1932年)に設立され,今年創立92周年を迎えた伝統ある学会です.これまで学会の発展に尽力された諸先輩方に改めて感謝を申し上げますとともに,その歴史と重さを受け止め,微力ながら鋳造工学ならびに業界の発展に尽くしてまいります.

まず,本年1月の能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに,被災された方々やそのご家族,不安の中におられる方々に対して,心からお見舞いを申し上げます.

私は,日本鋳造工学会にたいへんお世話になってきました.まだ社会人になって間もない駆け出しの頃,全国講演大会で研究発表の貴重な経験をさせて頂きました.また2016年東海地区で開催したWFCでは関係の方々と苦心して企画運営した思い出がありますし,本部理事として2年ほど学会運営に参加させて頂くなど,数多くの関係の皆さまにお世話になってきました.さらには,私自身のキャリアのほとんどが鋳造の領域であり,これまでのご恩返しを含めてお役に立てればという思いで,微力ながら尽力して参ります.

 ここ数年,製造業を取り巻く環境は激変を極めています.2019年からのコロナでは,人やモノの移動の制限,さまざまな製品分野にまたがるサプライチェーンの混乱が生じ,その修復過程において企業活動や人々の生活スタイルを変えました.ようやくコロナから抜け出し経済活動が勢いを戻しつつありますが,ウクライナ侵攻による経済制裁からエネルギー・材料の不足,価格の高騰が起こっております.少子高齢化により労働力不足もより顕著になってきており,それに適正に価格転嫁する社会全体のしくみも引き続きの課題です.エネルギー問題では,カーボンニュートラル実現も大きな課題であり,省エネ,再生可能エネルギー,サーキュラエコノミーの転換など,技術,経営の中心的課題のひとつとなっております.

 その中で,日本鋳造工学会としては前任の清水会長のもと足元と将来を見据えて,『新しい風を吹かせる』そして『新しい風にのる』をスローガンとして,活動を変化し,新しい価値創出を進めてきています.5年10年後の将来を見据え,基礎研究の推進により工学に関わる学術の深化,データ・デジタル活用・自動化・CNなど将来の商品・ものづくりへの推進を図る新化,業界としてもっといい商品・サービス,労働環境を提供する世界への進化,そしてそれぞれが身近になる親化のビジョンを描いて活動しています.

 会長という責をお引き受けするにあたり,これらの考えと活動をしっかり継承し,鋳造が生み出す付加価値,鋳造分野で活躍する人材に光を当て,鋳造の魅力や面白さを発信する努力と工夫をしていきたいと思います.わが国の素形材産業の重要な一端を担う立場として,関係各位のご支援とご協力を仰ぎつつ,取り組んでまいります.どうぞよろしくお願いします.

令和6年6月
公益社団法人日本鋳造工学会
 会長 岡田政道