アルミニウム合金ダイカストの離型剤の膜厚を測定したいのですが,何か良い方法はありますか?
金型に付着した離型剤の膜厚を直接測定するには,数センチ角の片状サンプルを金型に張り付け,離型剤塗布後にそれを外し計測器や試験器で計測・観察する方法が一般的です.また,十分に小さな金型の場合では,金型表面を直接計測も可能です.鋳造作業中にリアルタイムで離型剤塗布後の膜厚を直接定量的に測定する技術は,現時点では実用化されていません.片状サンプルを用いる場合,塗布時点でその表面が実際に使用される金型温度に達していることが必要です.
一般的な水溶性もしくは油性離型剤では,サンプル表面に付着した膜(半透明膜)をレーザー顕微鏡で直接計測する方法があります.粉体や粒子分散タイプの離型剤では,サンプル表面の粒子を反射型電子顕微鏡等で直接観察可能です.
塗布状況を定性的に観察する技術として,水溶性離型剤に蛍光塗料等を混入し,塗布後にブラックライト等で付着状況を観察する技術があります.この方法は片状サンプルを使用せず,金型全体の塗布状況を観察できます.付着領域や定性的な塗布量を,濃淡により観察しスプレー条件へ反映できますが,金型温度が高い場合,蛍光性を失う場合があるので当該成分の耐熱性に配慮が必要です.
(『鋳造工学』97巻8号掲載)