アルミニウム合金溶湯の温度と粘性の関係はどうなっているのですか?
一般的にアルミニウム合金溶湯の動粘度は水とほぼ同じで流れ挙動ではレイノルズ相似則を容易に適用することが出来ます.一方で粘度(見かけ粘度)は,溶湯温度が液相線温度よりも高い領域では,温度による粘度の変化はさほど大きくありませんが,液相線温度よりも低下すると粘度は上昇します.これは固相率の増加が原因であり,固相率が約0.3~0.5より増加すると粘度は急激に上昇すると言われています.したがいまして,液相線温度と固相線温度間の固相率と温度との関係を調べる必要があります.この関係は単純な直線関係ではありませんが,これが既知であれば,溶湯の粘度が急上昇する固相率から温度が推定できることになりますので,湯流れ凝固過程で溶湯流動停止を推定するときに役立つ情報となると思われます.
(『鋳造工学』89巻6号掲載)