アルミニウム溶湯はどうやって脱ガスするのでしょうか.
脱ガス方法としては,不活性ガスの吹き込みとフラックス処理があります.不活性ガスとしては,ArとN2があります.吹き込み方法はランス,ポーラスプラグ,回転脱ガス装置があります.不活性ガスの気泡に水素ガスが拡散し脱ガスされます.気泡が細かいほど表面積が大きくなるのと浮上速度が小さくなりガス滞留時間が長くなり,脱ガスの効率が上がり処理時間を短くできます.そのため,気泡を細かくできる回転脱ガス装置が広く使用されています.回転脱ガスの脱ガス効果は高いが,処理時間が長くなると介在物を巻き込み量が多くなることが報告されており,目標のガス量に達したところで処理を停止することが望ましい.また,ガス中の水分量が増えると脱ガス効果を阻害するので,露点の低い高純度のガスを使う必要があります.
フラックス処理でも脱ガスができるが,Arガスで回転脱ガスよりも効果は低く,ガス量を低領域にするのは難しい.しかし,介在物の除去が同時にできるメリットがあります.フラックスも水分が吸着すると脱ガス効果を阻害するので水分が吸着しないように保管する必要があります.
(『鋳造工学』94巻8号掲載)