コールドボックスで使われるアミンガスは人体に有害と聞いているのですが,工場で感じる臭気レベルでは人体への影響はないのでしょうか.

 コールドボックスは,1966年米国アシュランド・ケミカル社によって有機バインダによるガス硬化鋳型造型法を発明し,1968年に技術導入,1969年に実施許諾によって普及が開始され,1989年に基本特許が権利満了となっています. 実に半世紀以上に渡って使用されている鋳型造型プロセスとなります.

 コールドボックスに使用されるバインダは,

  Part1 ・・・・ フェノール樹脂
  Part2 ・・・・ ポリイソシアネート

の2液から成り立ち,このバインダを砂と混錬して型込めし,触媒である第3級アミン(トリエチルアミン)を通気することによって硬化させる造型法です.ここで使用されるトリエチルアミンですが,健康有害性の急性毒性(吸入:蒸気)が区分3に該当し有害です.

 この有害性は,急性毒性の吸入によって動物(ラット)試験されており,ラットLC50(4時間)値:1250ppm(換算値5.163mg/L)および2600ppm(換算値:10.74mg/L)となっています. この値は,試験におけるラットの半数以上が死んだ値となります. この数値に基づき工場の作業環境濃度は,この数値以下で管理することが大切で,きちんと換気された鋳造工場であれば,この数値以下となりますので,人体への影響は少ないと考えられます.

(『鋳造工学』92巻12号掲載)