チャンキー黒鉛をなくす方法についてお教えください.

もちろん黒鉛粒数を増せばチャンキーはなくなるのですが, 実際の大物製品ではそれほど黒鉛粒数を増すことは出来ないので, 現実的にはSb(アンチモン)を使ってチャンキー黒鉛を止めている会社が多いようです.
RE(レアース)のない溶湯をつくる方法や冷やし金を多様することにより, チャンキー黒鉛を防止している会社もあります. ヨーロッパなどでは, Sbの変わりにPb, Bi などを使うこともあるようですが, Pbは球状黒鉛の周りにトゲ状の黒鉛を発生させますし, Biでは整列状黒鉛などが発生します.
鋳造工学会誌の76巻2号P125に津村氏が, Sb/RE>0.7でチャンキー黒鉛がなくなることを示しています. REの50%がCe(セリウム)だと考えると, Sb/Ce>1.5でチャンキー黒鉛は防止できることになります. 海外の人などと話すとSb/Ce=2とも言います. 球状化剤から入るCe量とスクラップから入るSb量(ダライ粉や電磁鋼板にSbが含まれます)を加味して, Sb/Ce>1~2になるようにSbを添加します.
Sb/Ce比は, 製品の肉厚・重量等によって変わります. ただしSb量は好ましくは20-50ppmの範囲にする必要があるため, あらかじめ球状化剤中のRE量をSbがこの範囲に入るように調整する必要があります. Sbが50ppmを越えるようになるとSbによる部分的なパーライトや星状の片状黒鉛が出るようになります.
CuやSnを使う場合は, これらの元素がSbと類似の働きをしますので, Sb量は下げられると考えられますが, CuとSnの効果が不明なので, どの程度下げられるかはわかりません.