無機中子の種類や,メリットとデメリットを教えてください.
無機鋳型は,水ガラス系とセメント系に分類されます.これまで主に中子として使用されていた無機鋳型は,けい砂に3~4%程度のけい酸ソーダ(水ガラス)を添加,混錬し中子型へ充填後,炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス法が主流でした.無機中子は有機中子に比較してガス発生量及び臭気が大幅に低減され環境に優しく,鋳造時にガス不良(欠陥)の発生が少ないというメリットがあります.一方,混練後使用できる時間が短い,湿砂のため流動性が不十分,鋳造後の崩壊性が悪い,吸湿により中子強度が低下するという課題がありました.
これらの課題に対し近年,様々な開発が実施され,国内外で普及してきました.開発の一例として,充填性を改善するためにホイップ状にする,崩壊性向上のために添加剤を加える等があります.しかしながら水ガラス系中子の曲げ強度は約200℃でピークに達し,約600℃で低下しますが約1000℃で再度上昇するため,鋳鉄鋳物への適用は崩壊性に課題がありますが,アルミニウム合金鋳物への適用は進んでいます.
(『鋳造工学』94巻4号掲載)