生型砂は融点が1710℃と高いシリカ(石英)で構成されているのに,なぜ焼付き不良が起こるのですか?
焼付きは物理的焼付きと化学的焼付きがあります.ご質問の焼付きは,ご質問内に「耐火度の高い石英」と受け取れます文言がありますので,ご質問の焼付きは,生型砂の耐火度低下により,金属酸化物と反応して生じる化学的焼付きと考えました.また,材質は1400℃前後で注湯する鋳鉄であると仮定して回答しています.生型砂の耐火度が低下して,化学的焼付きが発生する理由は,一般に二つあります.
生型砂粘結剤のベントナイトの融点が1100℃前後で,鋳鉄の注湯温度より低いことが,一つ目の理由です.生型砂に含まれるベントナイトと,同一融点のオーリチィックとなって残留した構成物は生型砂の低下度を低下させます.
二つ目の理由は,日本のけい砂は石英100%のものは殆んどなく,長石が二次成分である石英-長石システムのけい砂です.SiO2が100%以下のけい砂は,長石を伴います.長石の種類は複数ありますが,これらの融点は鋳鉄の注湯温度より低いおよそ1100℃~1200℃です.石英-長石システムのけい砂を使用すると,生型砂の耐火度は低下します.
化学的焼付きは,溶融した鋳型砂と酸化した溶湯との反応ですので,生型砂の中に部分的に,注湯の熱で溶融する構成物があれば,その部位で化学的焼付きが発生する可能性が生じます.
(『鋳造工学』97巻6号掲載)