鉛フリー銅合金が開発されていますが,銅合金中の鉛の役割は何だったのですか. また,それを他の元素で置き換えられるのでしょうか.
銅合金鋳物において,鉛と銅はお互いに固溶せず,凝固の結果,結晶粒界の最終凝固部に分散して存在します.柔軟性,潤滑性のある鉛が粒界に存在することにより,切削抵抗を下げる効果があります.青銅鋳物はバルブ等に用いられていますが,引け巣を埋めて鋳造性を向上させる効果があると言われています.また,鉛青銅鋳物では軸受特性,特に耐焼付性に寄与しています.鉛フリー銅合金では青銅鋳物ではビスマス,硫化物が鉛の代替として用いられています.
(『鋳造工学』97巻6号掲載)