電気炉には高周波,中周波,低周波誘導炉が存在しますが,それぞれの特徴やメリットデメリットは何でしょうか?

 高周波・中周波・低周波の違いを考える時に最も基本となるのは,溶湯撹拌力(F)が周波数(f)に反比例するということです.したがって,低周波誘導炉(50/60Hz)は溶湯撹拌力が大きいという特徴を有しています.

 低周波炉は設備費が低価であり,残湯を残しながら,同じ材質をくり返し作る連続操業の量産ラインに適しています.ただし,高周波誘導炉と比較して電流密度が低いため,溶解に時間を要し,溶解電力原単位も悪いという問題があります.一方で,低周波炉は撹拌力が大きいため,カーボンや合金の添加が容易なメリットや亜鉛や鉛などの不純物の除去が進みやすいメリットがあります.しかし反対に,溶湯が酸化しやすいというデメリットがあります.

 一方,中・高周波誘導炉(300~3000 Hz以上)は,撹拌力は小さいですが,電流密度を大きくすることができるために,高速溶解が可能で,電力源単位も低周波炉よりは良くなります.また,低周波炉のような溶解スタート時のスターティングブロックなども必要なく,溶解材料も自由に選べるというメリットがあります.また,撹拌が無いことから,溶湯の酸化が少ないメリットや,全量出銑であるため成分の異なる各種材質の溶解が可能というメリットもあります.しかしながら,撹拌力がないためにカーボンや合金の添加が難しく,一度取鍋に出して各種元素を添加しなければならいことも多いです.最近では,不純物元素の除去の問題を解決するため,高さを低くして炉径を大きくした偏平炉なども用いられています.中高周波炉では小さな溶解材料が使えるメリットはありますが,材料がブリッジをつくる現象である棚吊りが起りやすく,冷却水が溶湯に触れることによる電気炉の爆発事故を起しやすいので注意を要します.  

最近では,低周波炉と高周波炉のメリットを取り入れた中周波炉を用いる鋳物メーカーも増えてきています.

(『鋳造工学』93巻1号掲載)