電気誘導炉で鉄原に銑鉄を使用するとひけ傾向が緩和されるのはどうしてですか? 銑鉄が白銑組織の場合と黒鉛が晶出している場合とでは違うのですか?

難しい質問です.銑鉄を使用すると,ひけ傾向がどう変わったか,ということを定量的に示した文献をあまり見たことがありませんが,現場的にはありそうな話です.

日本では,鋳鉄製造時には一般的に鋼屑を使用しますが,いろいろな事情から銑鉄を使うこともあります.鋼屑を使用すると加炭が必要ですが,銑鉄で は通常加炭は必要ありません.ひけ傾向が炭素量と関係がある(凝固時の膨張量は黒鉛量に対応する,とされている)とすれば,鋼屑の場合,加炭量が不足する ことがあると,ひけが出やすくなる,というのかもしれません.

炭素量のほかに,微量成分も鋼屑と銑鉄で異なることがあるのに加えて,加炭材に随伴する元素 もあるので,これらの影響でさらに差が大きくなるとも考えられます.加えて接種も当然黒鉛量に影響します.それならば,すべての成分,工程を同じにすれ ば,ひけ傾向は同じか? ということになりますが,可能でしょうか?

銑鉄の組織も高炉からの出銑時の状況等で種々変わりますが,ごく大ざっぱにいえば,白銑組織よりも黒鉛化している方が,再溶解して鋳物を鋳造して も黒鉛化しやすい成分になっているはずです.

黒鉛が大ければ凝固収縮はすくない,つまりひけ傾向を緩和する銑鉄となるでしょう.