高品質ダイカストの種類の一つに層流充填ダイカストという方法がありますが,普通ダイカストとどのように違うのでしょうか?

一般ダイカスト法は寸法精度に優れた製品が成形できる反面,金型キャビティ内のガスが流動中に溶湯に巻き込まれやすく,製品の要求特性によってはこれが許 容されないレベルで製品内に鋳巣として残留している場合があります.層流ダイカスト法はそのような問題を解決するために考案された工法です.

この工法では,キャビティ内でガスを巻き込みにくくするため,溶湯を非常にゆっくりと充填します.ダイカストの一般的な充填時間は数十ms程度ですが,層 流充填ダイカストは数百ms~数秒です.ゲート速度も一般ダイカストでは数十m/sですが,層流充填法は早くても数m/s程度です.そのため,溶湯流動長 は一般ダイカストに比べて劣り,低速域でプランジャー速度のばらつきが少ないダイカストマシン,厚いゲート及びランナーの断面積,流動中の溶湯温度が下が りにくい断熱性離型剤やプランジャー潤滑剤などが必要です.

ゲートが厚いためプランジャーからの圧力伝播も向上し,凝固収縮巣も減少する傾向にありますが,専用の切断機が必要となります.