近年は生砂のCB値管理が主流になっていますが,同CB値でも水分が変わり不良への影響も変わることがあります.CB値,水分管理についてどう考えればよいでしょうか?
CB値(コンパクタビリティ)は,1970年にAFS掲載論文の中で提唱された生砂評価指標です.既存のサンドランマを使用して測定するという簡便性により日本でも広く採用されてきた経緯があります.
生砂評価指標としてのCB値への影響因子は多岐にわたると言われます.例えば,同一混練条件でのCB値と水分の比率は,微粉分(活性粘土分含む)の増減により変化します.しかし,ライン砂の組成管理をしっかりと行って,微粉分の変動を少なくするための管理が実現できていれば,CB値は水分の代用特性として単純化できるのではないでしょうか?
その場合の注意点は,CB値が混練砂粒子表面層の水分状態を現しているという点です.混練砂粒子表面の水分は非常に蒸発しやすく,混練砂粒子表面の状態は容易に変化(サラサラ化)してCB値に変化が現れます.例えば,ベルトコンベアの移し替えの際の大気との接触がそれに当たります.混練砂粒子表面の水分蒸発は混練砂水分としては0.05〜0.1%程度ですが,CB値は3〜5%変化してしまいます.
CB値測定用の混練砂サンプリングは,いつも同じ場所で,可能な限り混練機排出からの経過時間を一定にするという工夫で,このような変化は最小限にすることができます.そうすれば,CB値管理は,非常に厳密な水分管理を実施しているということに繋がります.
CB値は,摩訶不思議な指標ではありません,原理原則を常に念頭に活用してください.
(『鋳造工学』91巻6号掲載)