鋳鋼材は廃棄されると最終的にリサイクルされると思いますが,リサイクルするには専門的な特殊工程があるのでしょうか? 自社内または鋳造業者に廃棄材を持ち込んで再溶融し,別部品としてリサイクルできればコストメリットがあると見込んでいます.特殊な工程が不要であれば検討してみたいと考えておりますが,このようなリサイクルを行う場合に注意すべき点があればご教示ください.

リサイクルとして良い提案と思います.再溶融では,溶解,精錬,成分調整という標準工程が一般的です.リサイクルの場合の注意すべき点は再溶解に際して精錬で除去できない有害成分(Cu,Sn,Sb,Pb,As等) の混入を防ぐことです.1,廃棄材の材料成分が明確で,材料規格毎に分類されて各廃棄材が管理されていること.2,塗装や錆が除去されていること.3,ブッシュやセンサー,溶接取り付け材等鋳造品に取り付けられている異材がすべて除去されていること.4,溶解する炉に適したサイズ,重量に切断されていること.5,溶解材料の安定供給源として確保されていること.6,JIS等による溶解用鋼くず使用の場合より安価なこと.これらが満足されれば,挿入材料の加熱乾燥,再溶融と若干の成分調整で鋳造品へのリサイクルができます.廃棄材の管理保管にはコストもかかります.特定の顧客やユーザーとの契約で廃棄材を入手している場合でも,JISで管理された溶解用鋼くず等と混合して利用することが一般的な方法です.

(『鋳造工学』97巻4号掲載)