グリーンアルミとは何ですか? またグリーンアルミのCO2排出量が再生地金よりも多い理由を知りたいです.

グリーンアルミは,業界での定義はなされていないものの,一般的には,CO2排出量の原単位が約4kg-CO2/kg-Al以下のアルミ新地金と認知されています.グリーンアルミは,電解製錬時に再生可能エネルギーのような低CO2電力を用いて製造されており,例えば日本アルミニウム協会の公開資料によれば,インドネシア,タジキスタン,カナダ,ブラジル,ニュージーランド産のような,水力発電由来の新地金が該当します.これら新地金のCO2排出量の原単位は,4 kg-CO2/kg-Al程度です.電解製錬時の電力をいわゆる再エネ化すれば,CO2排出量は限りなくゼロにできますが,アルミナ製造時に発生するCO2や電解製錬時のカーボン電極に起因するCO2は削減できないため,このような数値となっています.

一方,再生地金のCO2排出量の原単位は,原料となるスクラップのCO2排出量の原単位をゼロとするため,主なCO2排出はアルミスクラップの再溶解によるもので,よって,0.3 kg-CO2/kg-Alと非常に低くなります(考え方は後述).これは,日本が輸入する新地金の平均CO2排出原単位である10.8 kg-CO2/kg-Alの3 %程度と非常に低い数値であり,カーボンニュートラル実現に向けてアルミリサイクルの重要性を示すアピールポイントとなっています.

さて,再生地金のCO2排出量の原単位が低いのは,それを算出する根拠となるLCAの考え方によるところもあります.現時点では,アルミは資源循環の影響を考慮しない算定方法(Cut off approach)に基づいています.よって,原料となるアルミスクラップのCO2排出量の原単位はゼロと取り扱われるため,前述のスクラップの溶解時に発生するCO2排出が主たる要因となります.これが,再生地金の原単位がグリーンアルミと比較してもかなり低い理由のひとつです.

しかしながら,再生地金で使用されるスクラップも元をたどれば1次原料であるアルミ新地金から来ているため,資源循環の影響を考慮したLCA(Attributional LCA)の考え方によれば,再生地金と新地金のCO2排出量の原単位は,ともに3 kg-CO2/kg-Al程度となるという報告もあります.鉄鋼の分野では,後者の考え方が採用されています.

(『鋳造工学』97巻4号掲載)