熱処理の焼き入れ(水没)工程における変形をCAE解析できるでしょうか.またCAE解析を行うとき,どんな冷却条件(例:製品姿勢,水没速度,水の蒸発など)を考慮できますか?

実験によるデータ取りをすることなく解析を実施し,良い結果を得ることにできる鋳造CAEシステムは,ないと考えます.一般的には,汎用の構造解析ソフトを使って熱を荷重とした応力,変形解析をすることになります.ただし焼き入れ現象をダイレクトにモデル化した解析システムではない為,冷却条件をいろいろ振った解析はできません.解析は弾塑性解析で良いと考えます.

 各温度,ひずみ速度(代表的な冷却速度,いろいろな製品を扱うには,最低3種類程度)における応力ー歪曲線を実験によって取得する必要があります.製品姿勢については,姿勢,支持部位を拘束条件の工夫で良い条件を見つけることは可能であると考えます.水の蒸発の考慮はとても難しい為,鋳物の冷却速度を大まかに見積もり,冷却速度に応じた歪ー応力データを使うことにより間接的に水の蒸発を考慮することができると思います.変形ではありませんが,MTSモデルを用いて水冷におけるアルミの残留応力を計算し,測定結果と比較した論文もありますので参考にしてください.

 Bowang Xiao, Keyu Li, and Yiming Rang:"Numerical Simulation and Experimental Validation of Resial stress in Water-Quenched Aluminum Alloy Castings", J.Mater.Eng.Perform 12011, 20 (9),pp1648-1657.

(『鋳造工学』98巻6号掲載)