アルミニウムダイカストにおいて発生する欠陥にはどの様なものがありますか? また,それらはどの様なことが原因で発生するものなのでしょうか?

ダイカストでは,溶湯が100ms以下という非常に短い時間で金型キャビティに充填され,その後1秒以内に凝固が完了します.この高速充填と高速凝固によって微細な鋳造組織が形成され,鋳放しの状態でも一定の機械的性質が得られるという利点があります.しかし,このプロセス特性が原因となり,ダイカスト特有の欠陥が発生しやすくなるという側面もあります.特に,内部に空洞を形成する鋳巣欠陥や,充填不足によって生じる湯流れ欠陥は発生頻度が高く,対策も難しい代表的な欠陥です.

鋳巣欠陥には,金型キャビティ内の空気やガスが充填過程で排出されず,溶湯に巻き込まれることで生じるブローホールと,溶湯の凝固収縮を十分に補えない部分に発生するひけ巣があります.一方,湯流れ欠陥は,溶湯がキャビティ内を流動する際に冷却や早期凝固が起こること,あるいはキャビティ内に残留した空気やガスの背圧によって流動が妨げられることなどが原因となって発生します.また,射出スリーブ内で溶湯が冷却・凝固して形成された凝固層が射出時に破壊され,その破片がキャビティ内へ流入する場合もあります.このような破断チル層が混入すると,機械的性質の低下を招き,重大な品質問題につながることがあります.

(『鋳造工学』98巻9号掲載)