介在物と結晶核との違い,境目は何でしょうか?
金属中の介在物とは,溶湯または固体状態において素材とは違う固体物質で,元々素材に含まれていない異種物質を言います.耐火物や溶解用機材が破損し,溶解時に混入したものや溶湯酸化によって混入した酸化物も介在物です.介在物は鋳造品の特性に悪影響を与えるものです.
金属の凝固過程で,溶湯から最初に結晶の種である核ができます.核に金属原子が規則正しい構造になるように付着していき,やがて大きな結晶に成長 します.凝固するときに核が沢山できると結晶が微細化します.また,溶湯に結晶の核となりうる異種物質が多く存在すると,その周りに原子が付着し,成長し ていき,微細な結晶になります.
異種物質が結晶の核となるためには溶湯と濡れやすく,それぞれの特定の結晶面が上手く重なる条件が必要です.濡れやすいと溶湯から直接に核を生成 するよりも低いエネルギーで異種物質の表面に金属原子が付着するため,結晶が成長しやすくなります.
アルミニウム合金では,チタンやほう素が凝固時にAl3TiやAlB2のような核物質となる元素であり,鋳鉄では接種剤が溶湯の酸素や硫黄と反応し,黒鉛の核物質となることが知られています.