部品を設計する時に直接使われない破断応力の引張強さや破断伸びの用途は何か教えてください
設計者あるいはメーカーによって鋳造部品の設計に関する考え方が違うので,これが正解ということは言えないと思いますが,一般的には下記のように考えられます.
一般に構造部品は,通常の使用において耐力以上の応力が入らないように設計します.耐力以上の応力が入ると塑性変形を起こして,部品として成立しなくなるためです.さらに,適用部位により,疲労強度S-N線図,マイナー則,疲労限度線図などを用いて構造設計します.
では何故,破断応力の引張強さや破断伸びのデータが必要なことがあるのかというと,設計思想が異なるので一概には言えません.例えば,部品によっては過大入力が入った時に,その部品にエネルギーを吸収させたいのか,曲げたいのか,折れてほしいのかといったいろいろな要求が出てきます.これらの要求に答えるために,破断応力の引張強さや破断伸びの値が設計時の参考値として使われます.自動車のサスペンション部品やボディ部品などでは,いろいろな入力が入る可能性があるので,このような材料特性も考慮しながら設計することになります.