ダイカストで凝固中の溶湯の凝固速度を測りたいのですがどのような方法でやればいいのでしょうか?

実際の鋳物が凝固するときの温度変化を測定することは,ひけ巣などの鋳造欠陥の解決や凝固シミュレーションの確認のために重要な技術です.重力鋳造法や低圧鋳造法などの場合は,金型や中子に応答性の良い熱電対をセットして,凝固過程における溶湯の温度変化を測定したりしています.しかし,ダイカストにおいては,溶湯が高速で射出されることや溶湯圧力が高いことなどもあり,重力鋳造や低圧鋳造のように簡単に測ることができません.そこで,金型に熱電対をセットして何度も使えるようにしたり,熱電対の先端だけを取り換えることができるようにしたりといろいろ工夫をしながら測定する努力がされてきました.また,光ファイバーを用いて測定するような技術も開発されています.

一方,厳密に測定する必要がなければ,出来上がった鋳物の切断面の組織を観察して,2次デンドライトアームスペーシングを測定して冷却速度を予測する方法もあります.同じ鋳物の中での冷却速度の相対的な差を調べるのであれば,このような方法も利用できます. 

(『鋳造工学』88巻7号)