ダイカスト金型の焼き付きのメカニズムはなんですか?
ダイカストの焼付きは,金型にアルミが付着して製品の一部が削れる現象をいいます.
金型にアルミが付着する原因には次の2つがあります.第1の原因はアルミと金型が反応しAl-Si-Feの化合物層を形成することです.第2の原因はアルミと金型間の摩擦力がアルミの強度より大きるなりアルミが破壊することです.前者のアルミ付着は反応する臨界温度に支配され,これは主に金型の材質や表面処理の種類,Al合金の種類,離型剤の付着状況によって変化します.後者のアルミ付着は,離型剤の付着状況に主に支配され,離型剤の付着で防止していますが,抱き付き力が大きいところで離型剤が付着しないと発生する可能性が高くなります.離型剤の付着因子以外に,離型時の製品温度,金型の抜け勾配,表面粗さなどが影響します.いずれも,金型の温度管理が重要であり,前者は溶湯充填時の金型温度であり,後者は離型剤塗布時の金型温度の管理が重要です.金型の冷却による制御をきめ細かく実施することが要といえるでしょう.
(『鋳造工学』89巻11号掲載)