塗型の塗り方が作業者によって異なるようですが,大丈夫なのでしょうか?【アルミニウムの重力鋳造や低圧鋳造の金型】
アルミニウム合金の重力鋳造や低圧鋳造では,金型の製品形状部表面に塗型を施します.塗型は,金型保護,溶湯保温,流動性確保,凝固制御,離型性確保,面粗度制御などに影響を及ぼし,鋳物の品質確保のために重要な役割を担っています.また,何度も繰り返して使用するため,塗型品質が変化して鋳物の品質に影響を及ぼすとともに,塗型寿命がばらつくと生産性にも影響を及ぼします.塗型は,一般的には手作業でスプレーして施工されることが多いですが,熟練者が施工してもばらつくことがあり,その技術伝承は最も困難なものの一つになっています.そこで,塗型施工時のいろいろな条件を洗い出して,塗型に影響を及ぼす因子を明らかにし,最適な条件を決めたりするような活動を行い,施工方法を作業標準などで規定したりして,ばらつきを少なくしています.将来は,作業者に頼るだけでなく,ロボットなどを使って施工して塗型品質を確保することや,ダイカストのように塗型ではなく離型剤をショット毎に吹き付けることで,塗型に頼らない鋳造技術を開発することが望まれます.
(『鋳造工学』89巻12号掲載)