ダイカスト工場でIoTを進めなさいと上司に言われているのですが,何をすれば良いかわかりません.まずは,鋳造の計測だと思うのですが,鋳造機に使えるセンサーは何があるのでしょうか? また参考になる論文などあるのでしょうか?

質問者様の目的が不明ですし,また現在の鋳造計測状況が不明ですので,どこから進めればいいのか説明するのは簡単ではないのですが,一般にIOTのために新たにセンサーを設置して計測を始めても期待する効果が得られず失敗に終わるでしょう.まず,今まで品質管理上計測してきたデータや条件チェック等のデータを製品個々の良品不良品の情報と紐づけることが,1歩だと思います.そして記録したデータの見える化を進めます.

1.良品条件として設定した鋳造条件の設定が守られているか記録する.

2.計測しているデータやチェック効果を見える化し,大きく変動しているものがあるか,相関のあるパラメータがあるか確認する.

  この段階で鋳造機,保持炉などからのデータをどのように加工し記録するか,どの時点でクラウド(サーバーや記録装置などのインフラ機能をネットワーク経由で提供するサービス)に上げるか,データを見える化するためのソフトの選定を進めます.これらのIoTのインフラが整った段階で設定した条件で製造しても不良が出てしまうのであれば,新たな計測の追加を検討するのがいいと思います.

3.次の段階で製品に番号を付け後加工工程での鋳巣不良や漏れ不良と計測データとの紐付けをします.

このような流れで鋳造条件のデータと後加工不良とが結び付けられれば良いと思います.論文関係では,鋳造関係では甲南大学の長坂教授の解説記事(SOKEIZAI Vol.59(2018)No.7)などが参考になるかと思います.

(『鋳造工学』91巻3号掲載)