「圧力容器(FC300)穴加工後の水圧検査で鋳肌面に微小な漏れが発生しました.原因としまして,どのようなことなどが考えられるでしょうか.また、黒鉛や粒界を介して圧漏れすることはあるのでしょうか.

漏れるということは内側と外側がつながった不良ということなので,考えられるのは割れや湯境、表面から見えにくい異物かみ(砂、ノロ)等の不良が考えられます.これらの不良は目視でよく見れば分かると思いますが,微小なものはわかりにくいと思います.このほかに引け巣が考えられます.これが加工によって目で見えないような微小な引け巣(場合によってはマイクロシュリンケージと呼ばれる顕微鏡で見ないとわからないような引け)が表に出て,外に通じてしまっていることも考えられます.(ご質問にある黒鉛の粒界から漏れることは、熱処理品でない限り,ないでしょう.)

 漏れたところの浸透探傷検査(カラーチェック)をされたでしょうか?この検査によって表に現れた欠陥の形で何かわかるかもしれません.また,欠陥が出るように欠陥部を切断しSEMで観察すればさらに原因が分かると思います. 

(『鋳造工学』91巻3号掲載)