アルミニウムダイカスト製品に肉が厚い部分があり,圧漏れ不良が発生しており,困っています. 良い対策方法はありませんか?
圧漏れ不良は鋳肌もしくはその加工面(外部)と内部との相互貫通によって発生します.
したがって該当する漏れ部位の①鋳肌もしくは②加工面の状態,③内部品質のどれかが健全であれば,圧漏れを防ぐことができます.
1)鋳肌品質の向上に対しては鋳造欠陥である湯境いや凝固割れ,製品形状や型表面の状態,ダイカストマシンなどが要因であるかじり,冷間亀裂の発生対策が有効です.
2)加工面の品質については,加工代をチェックしてみてください.ダイカストの表面には非常に健全な急冷組織(チル層)が0.5㎜前後形成されま す. 加工代はこの範囲を大きく超えないことが理想です.過大な加工代は健全層を除去し,内部欠陥を表面に露出させる危険があります.
3)内部については,この場合引け巣がみられると思います.当該部の断面を切断・研磨し観察したうえで同定すべきでしょう.対策としては,適切な肉 盗みによる最終凝固部の極小化,金型の内部冷却強化による引け巣の分散,局部加圧による引け巣への溶湯補給が挙げられます.製品の外周部に厚肉部が存在し ている場合,方案や製品レイアウトを変更しゲートからの圧力伝搬を向上させる手段も有効と思われます.