ダイカスト製品でイヌキ穴の中が引けております.何が原因で何を対策したらよいのでしょうか?

 ダイカストでは鋳抜き穴を形成するために鋳抜きピンを使用します.鋳抜きピンが細い場合や,湯口から流入する溶湯が直接当たる場合,ピンが溶湯で加熱され,ピン回りが最終凝固部になります.そして製品の肉厚が厚い場合に鋳抜き穴に引けが発生します.対策は,ピンが加熱されないように冷却を入れることです.冷却が入らない場合は,溶湯が直接ピンに当たらないように方案変更することが有効です,その他にピンの回りの金型温度を上げピン回りが最終凝固部にならないようにすることや,高速速度を速くし巻き込まれるガスを製品中に細かく分散させ最終凝固部に引け巣が集中しないようにする対策も使われます.

なお熱容量が少ないピンに冷却を入れるとピンが冷えすぎて塗布した離型剤が乾かず水分が残り,これによって巣ができることがあります.JECSSのような装置を用いて溶湯充填後,冷却水をエアーパージするなどして,ピンが冷えすぎない対策をとる必要があります.

(『鋳造工学』第90巻6号掲載)