湯流れ解析の結果のコリレーション確認をどうすればいいか悩んでいます.実物と解析がどれだけ合っているか,どう確認したらよいか……一般に,どのようなアプローチがとられていますか?
型に熱電対を複数いれまして,湯先がいつどの場所に到達したかを実験的に測定するのが良いと思います.金型は特にですが,どうやって熱電対をキャビティーまで通すか工夫がいると思います.細い素線の熱電対を用いるより露出型のシース熱電対を用いるほうが熱電対を配置しやすいと思いますが相対的にコストがかかると思います.高圧ダイカストの場合は充填完了まで 100ms程度ですので測定間隔について 1ms 程度のデータロガーが必要と思います.グラビティや低圧鋳造の場合は,100ms より短く,できれば 10ms 程度の測定間隔が良いと思います.凝固解析の検証にも使えると思います.金型の場合は特に,湯の温度だけでなく,型の温度も複数箇所取得して解析とつきあわせると良いです.熱伝達係数を逆解析で求められる可能性があります.熱伝達係数は塗型や離型剤の種類や厚さで変化します.それゆえ,自社において熱伝達係数をもとめることが流動および凝固解析精度を高めるためのノウハウになるはずです.
金型鋳造の場合は金型温度,ベントの位置や塗型の種類,厚さを系統的に変えて実験できると良いです.一条件だけの検証ではなく系統的に変数(鋳造条件)を振れるほど解析の検証が有益になるでしょう.熱伝達係数の値が適切かどうか,背圧に湯が押し返されていないか,充填完了前に湯が液相線温度を下回っていないか,ということがわかってくるでしょう.金型鋳造においては熱伝達係数と背圧の影響が湯まわりに及ぼす影響が大きいと思います.砂型鋳造においては鋳型の熱伝導率の重要度が熱伝達係数より高いかもしれません.自硬性鋳型の場合は,金型ほどではなくても背圧の影響が生型より大きいでしょう.CT撮影により収縮巣の位置にくわえて,流動中の空気巻き込みの位置についても検証できる可能性があります.収縮巣か空気巻き込みによる空隙かは切断して穴の内部をみると,ほぼ判断がつくでしょう.空隙の形だけで判断しないほうが良いです.
研究レベルでは型の一部を耐熱ガラスにして可視化する方法もあります.SNS で実験結果の動画が公開されている例があります.X線で透視することは安全確保とコストの観点から前例は希少と思いますが,湯流れがよくわかる観察事例があると思います.
(『鋳造工学』98巻2号掲載)

