自硬性の砂評価はLOIが主流で,酸消費量やソーダ分等はあまり現場では使用されておりません.どのプロセスでもLOIで評価していればいいのでしょうか? 各プロセスでLOI以外の評価をした方が良い評価項目はありますか? また,プロセスによってはLOIよりもいい評価項目はあるのでしょうか?

LOI(Loss on Ignition,強熱減量)は1000℃の減量%で,有機自硬性の評価に主に用い,回収砂では残留樹脂相当です.回収砂の再生状態やガス欠陥予測ができます.加えて,粒度分布や通気度を評価すると予測精度が向上し,焼付き欠陥も予測できます.回収砂のLOIを一定にすると,鋳型強度などの特性が一定となるので,LOIは有機自硬性のどのプロセスでも重要な評価と言えます.

酸消費量はフラン鋳型の重要な評価で,硬化剤添加量を予測できます.ただし,新砂は種類により酸消費量が大きく異なりますが,回収砂は残留した樹脂や硬化剤により,酸消費量はほぼ一定となります.このため,酸消費量の現場測定が少ないと考えられます.現場での硬化剤の制御には,酸消費量よりも,砂温や湿度が影響します.

ソーダ分は水ガラス系無機自硬性で重要な評価です.しかし,pHで代用可能であり,試験が煩雑であり,あまり使用されません.

LOI,粒度分布,pH,砂温,通気度,鋳型強度,可使時間などが,現場の日常試験です.加えて,鋳物砂や粘結剤メーカに依頼し,酸消費量,化学成分,なりより性,強熱膨張量などを測定依頼することが多いと思います.

プロセスによって,例えばアルカリフェノール鋳型では,吸湿性があるのでLOIとは別に,水分を測定し,上記のメーカに依頼してのK量測定が必要となります.

(『鋳造工学』92巻2号掲載)