鋳物砂の粒度が細かい場合と粗い場合の鋳肌への影響について理由も含めて教えていただきたいです.

 砂の粒度が鋳肌に影響する要因としては,①鋳型の鋳肌面の凹凸が鋳肌に転写される,②鋳型の通気度が悪くガス欠陥が発生する,③鋳型の砂粒間の隙間が大きく,溶湯が差し込んで焼付きが発生する,などがあります.
 ①は単純で,図1に示したように砂粒が大きいほど鋳型の鋳肌面の凹凸が大きくなり,これが転写されることで鋳肌面の凹凸も大きくなるといった具合です.従って一般に粒度の細かい鋳物砂を使うほど,より凹凸の小さいきれいな鋳肌が得られます.
 しかしながら,実際の鋳物砂の粒度選択では②のガス欠陥の発生リスクを考慮する必要があり,特にガス発生量が多い有機自硬性プロセスなどでは粗目の砂(主に5号砂)を選択し,鋳型通気度を確保する必要が生じます.この場合,③の要因によって焼付き欠陥が発生しやすくなりますので,塗型を施すことで焼付きの防止と鋳肌の改善を図ります.
 他の造型プロセスにおいても,鋳型通気度に留意しつつ細目の砂を選択することで,より凹凸が小さく焼付き欠陥のないきれいな鋳肌が得やすくなります.

図1.粒度の異なる鋳物砂による鋳型表面と製品鋳肌の凹凸状態観察例

(『鋳造工学』95巻12号掲載)