鋳造CAEを使用したシミュレーションに必要な物性値や物性値の精度はどの程度必要でしょうか.

 一例として流動・凝固シミュレーションを行うためには,対象とする金属溶湯や型の密度,比熱,熱伝導率が必要となります.また,流動・凝固シミュレーションでは,相変化を伴い金属溶湯の密度が温度によって変化するため,比熱,熱伝導率も一定値ではなくその都度変化することになります.

 物性値の精度が上がるほどシミュレーション結果も実現象に近づくことが考えられます.しかし,シミュレーションは物性値の他に必要となるパラメータや解析モデルの影響をうけるため物性値の精度のみを高精度にしても効果はあまり現れません.そのため,どの程度のシミュレーション精度を求めるかによって必要となる物性値,パラメータ,解析モデルなどの精度を検討する必要があります.

(『鋳造工学』94巻6号掲載)