近年,軽量化のための材料としてMg-Li合金が挙げられていますが,マグネシウムとリチウムはともに活性な元素であると聞きます.鋳造時や使用時に危険は伴わないのでしょうか.
マグネシウムとリチウムは,酸化物の標準自由エネルギーが他の実用金属よりも著しく低く,これに主に起因して,大気中においても固相線直下の固体状態から液相の溶融状態(溶湯状態)の場合,大気中の酸素と反応して急激な酸化反応が生 […]
欧州では中子の無機化とともに,3D プリンタによる鋳型の無機化にも取り組んでいるようですが,課題があるとしたらどのようなことでしょうか?
砂型用 3D プリンタにおいて,無機バインダによる積層造形は石膏やセメントで実用化されており,小型プリンタでの普及となっています. また、欧州では水ガラス粉末と砂とを混合した砂を積層し,水をインクジェットした後,乾燥工 […]
焼入焼戻後に硬度が規格に入らなかったり,固溶化後に大補修を行って鋭敏化の恐れがある場合などに再熱処理を行うことがありますが,再熱処理を行うにあたって何かデメリットはあるのでしょうか? また,デメリットがある場合,再熱処理の限度回数は何を基準に考えれば良いでしょうか
材料や組成によって熱処理方法も異なることから,一般的な回答は難しいです. 再熱処理を行うに当たってのデメリットについては,材質にもよりますが,再熱処理は高温に加熱することが多いので酸化や脱炭が起こり,要求される組織や硬 […]
高真空ダイカスト製品で,T6熱処理後ブリスター不良はほとんどありませんが, 変形不良が大量に発生してしまいます.変形の原因とブリスター不良と変形不良の関係性はあるのでしょうか.
基本的にT6処理を行うことで,製品の材料中では析出相が現れ,F材と比べると微細に製品の寸法が変わります.質問としては,微細な寸法の変化ではなく,変形であるとのことで進めます.また,「T6熱処理後ブリスター不良はほとんど […]
光学顕微鏡を用いて明瞭なFe-C系合金組織(フェライト,パーライト,セメンタイト,レイデブライト,マルテンサイト等)を観察するためには,どのような腐食液を用いるとよいのでしょうか?
Fe-C系合金の組織観察に用いられる代表的な腐食液として,「ナイタール」と「ピクラール」があります. ナイタールは,1.5mlの硝酸(比重d=1.42g/ml)を100mlのアルコール(メタノール,又はエタノール)に […]
充填完了時のアルミニウム合金溶湯中の酸化物は,溶湯温度が十分高くて(680℃付近),金型側面の型温が高い場合,浮力によりキャビティ上面に集まる以外に温度が高い側面に集まることがあるのでしょうか
ここで言う酸化物は溶湯酸化物で,保持炉の中で沈降している,あるいは懸濁している塊状の酸化物ではなく,皮膜状の酸化物を示していると考えます.皮膜状酸化物の多くは大気,あるいは燃焼雰囲気と反応して生成したもので,酸化皮膜面 […]
鋳鋼, 鋳鉄について, 液相線温度よりどれくらい高い温度から鋳込むのが適当ですか.また, 鋳込み温度を液相線直上の温度から高くして行くと, 組織はどう変化していくのですか.
下にFe-Cの状態図を示します. 例えば, 共晶成分を狙う球状黒鉛鋳鉄の場合は, 大物では1153℃より100℃高い1250±30℃付近を狙います. 小物では, 湯流れ等の関係から液相線より250℃高い1400±30℃ […]
最近,展伸材などでは摩擦攪拌接合法(FSW)が用いられています.この方法によるアルミニウム合金ダイカストや鋳物への接合の適用例はありますか.また,適用する場合に特に問題はありますか.
FSW(Friction Stir Welding)は,接合する材料同士を密着させた状態で固定し,接合ツールを回転させながら接合する材料表面に押し付けることにより,摩擦熱で軟化した材料の塑性流動により固相接合させる技術 […]
オーステナイトではFe原子間距離が広くなってC原子が移動することができますが,セルとセルとの結晶粒界を越えて移動することはできますか?
「セル境界でも結晶粒界でもC原子が移動できるか?」との事であれば,Yesです. 凝固後の温度低下で共析変態温度に達するまでにAGr線(Fe-C二元平衡複状態図のFe-G系)に沿ってγ中のC固溶度が低下し共析変態でγ⇒ […]
鉄系材料では,フェライト,オーステナイト,ベイナイト,マルテンサイトなどの組織の違いによって,どれくらいビッカース硬さやロックウェル硬さに違いがあるのでしょうか.
鋳鉄の基地組織は,フェライト,オーステナイト,パーライト,ベイナイト,マルテンサイトの順に硬くなります.材料の硬さは,それぞれの組織構成で異なりますが,フェライトのブリネル硬さは90~150HB程度,パーライトのブリネル […]