鋳鋼では補修溶接を行うことがありますが,鋳鉄では補修溶接ができないと聞きました.なぜでしょうか? (質問者:TAKE TAKE)

鋳鋼と鋳鉄では,規定される炭素量が異なり,これに伴う組織形態の違いが補修溶接の難易度に大きく影響します.鋳鋼は一般的な鋼と同様にフェライト,パーライト,マルテンサイト等を有する組織形態のため,鋼に適用されている方法での補 […]

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本誌70巻709頁(1998年10月),71巻104頁(1999年2月)などの論文で,球状黒鉛鋳鉄の表面と内部の凝固時間比で溶湯ひけ傾向が評価できるとありますが,なぜかわかりません.詳しく説明してください.

 文意が読み取りにくい論文ですが,本文中で鋳物のひけ発生を表面と内部の凝固時間比から推測することは他の研究者も述べており,MDE値やマッシイ度として測定できる,としています.  中も外も同時に凝固する場合(凝固時間比1に […]

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ネズミ鋳鉄の共晶セルの見えやすい,見えにくいは何が影響しているのですか? 同じくセル境界の面積は,何に依存していますか? 成分は関係ありますか?

 ねずみ(片状黒鉛)鋳鉄の凝固過程で生じる共晶セルは、鋳鉄が共晶凝固をするときの核生成・成長の単位となっており、接種のような不均質核生成を促進するような処理を施すと、共晶セル数は増加します。また、溶湯内にリン(P)を多く […]

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鋳造時に発生する欠陥として,割れがありますが,高温割れと低温割れの違いや原因を教えてください.

 高温割れや熱間割れといわれている割れは,凝固が完了する前に凝固収縮が型や鋳物自体の形状に起因して拘束されることで発生します.局所的に凝固が遅れる場合には,すでに凝固完了した部分が,最終凝固部を引張ることになるため割れや […]

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球状黒鉛鋳鉄で, 引けの抑制に効くのは共晶凝固時の黒鉛晶出であり, 初晶の黒鉛は引け抑制効果が少ないのはなぜですか?

 下の図1と2に示すように, ひけ巣は共晶成分で最も少なくなり, 過共晶では再び増します.  過共晶成分では, 状態図からも分かるように, 液相から直接初晶の球状黒鉛が晶出します.      その後, 温度が下がるにつれ […]

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鋳鉄ほどの炭素が含まれていれば,共析炭化物が大量にでると思うのですが,析出しないのはなぜですか.

ご質問の「共析炭化物」を共晶凝固後から共析変態開始直上までに生成するセメンタイト(Fe3C)と理解して説明します. 鉄―炭素状態図では,炭素(C)含有量2%を境に少ない方を鋼,多い方を鋳鉄と区別しています.さらに鋼はFe […]

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黒心可鍛鋳鉄は強度や靱性を大きく改善している様ですが,球状黒鉛鋳鉄と比較してメリットはどのようなものなのでしょうか?

 可鍛鋳鉄は,球状黒鉛鋳鉄が出現する前は最も強靭な鋳鉄として,パイプ継手,自動車のフレーム,歯車,建築金物,家庭用品,工具などに多用されていました.黒心可鍛鋳鉄は,フェライト基地に塊状の黒鉛が点在しており,片状黒鉛鋳鉄と […]

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鉄鋳造の遠心鋳造方式で,製品に巣穴・ひけ巣が発生するのですがどんな原因が考えられますか? 種類としては、貫通タイプや肉の中に存在する(旋盤などで表面をさらうと出てくるもの)タイプがあります.

 遠心鋳造法における鋳造欠陥として貫通タイプは「ブローホール」,肉厚中に存在するタイプは「ひけ巣」,として以下回答します.  「ブローホール」は,金型内表面や型内面に塗布された塗型の水分が,溶湯が注ぎ込まれることで気化( […]

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鋳鉄(3.3%C, 2.7%Si)では,凝固収縮量が-0.9%であるのに,凝固時に体積が膨張します.その理由を教えてください.

 鋳鉄の場合,比重が7.0から7.3g/cm3の溶湯から約2.0g/cm3の黒鉛が晶出します. つまり,鋳鉄では黒鉛晶出による体積の増加があるので,基地(鉄)が凝固時に収縮しても,それを上回る程度の膨張があり,体積が膨張 […]

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鉄に疲労亀裂が発生するとき,表面と内部で亀裂の進展に差が生じることがあるのはなぜですか?

 板材に均等な力がかかっている場合,疲労亀裂は理論的には一様に進展するに思われますが,様々な要因の影響で一様には進展しません.その要因としては,力学的要因,組織的要因,機械的要因の3つが考えられます.  まず,力学的要因 […]

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