鉄
FC材にTiを添加してフッシャー欠陥対策をすることがあるのですが,同時に硬度が低下することが多々あります.このメカニズムとして私の中では,Nがセメンタイトを安定化しているが,Ti添加によりTiNを形成し(エリンガム図的に窒化物を形成するのが安定な為),Nによるセメンタイト形成が抑制されるためと理解しています (TiNは軟らかいという認識) .この理解が正しいのか(今わかっている中で最も確からしいか)お伺いしたいです.
片状黒鉛鋳鉄へのチタン添加で生成する化合物は窒素量とチタン量で変化することが知られています.TiとNの原子パーセント比(Ti/N)が1以下であれば,TiN,1~4ではTiNとTiC,4以上であればTiCが生成するという報 […]
最新のJISで規定された固溶強化フェライト基地球状黒鉛鋳鉄の特徴と使用用途を教えてください.
ご質問には,「最新のJISで規定された」とありますので,従来からあるSi-Mo-FCDのような耐熱用途のものは除いて回答します. 固溶強化フェライト基地球状黒鉛鋳鉄(SSSGI : solid-solution stre […]
ダクタイル鋳鉄を現状インサ-トで黒皮から加工しているのですが,黒皮のみを一回加工で取り除いてからインサ-トで加工したほうがインサ-トの寿命としてはよくなると思いますか?
加工品質の安定化,低コスト化という視点から素形材側の影響を知りたいということから,鋳鉄素材を加工する際に黒皮を取り除く必要性があるかどうかという質問を多くの方から受けることがあります.本来であれば,被削材(鋳鉄素形材)の […]
鋳鋼では補修溶接を行うことがありますが,鋳鉄では補修溶接ができないと聞きました.なぜでしょうか? (質問者:TAKE TAKE)
鋳鋼と鋳鉄では,規定される炭素量が異なり,これに伴う組織形態の違いが補修溶接の難易度に大きく影響します.鋳鋼は一般的な鋼と同様にフェライト,パーライト,マルテンサイト等を有する組織形態のため,鋼に適用されている方法での補 […]
本誌70巻709頁(1998年10月),71巻104頁(1999年2月)などの論文で,球状黒鉛鋳鉄の表面と内部の凝固時間比で溶湯ひけ傾向が評価できるとありますが,なぜかわかりません.詳しく説明してください.
文意が読み取りにくい論文ですが,本文中で鋳物のひけ発生を表面と内部の凝固時間比から推測することは他の研究者も述べており,MDE値やマッシイ度として測定できる,としています. 中も外も同時に凝固する場合(凝固時間比1に […]
ネズミ鋳鉄の共晶セルの見えやすい,見えにくいは何が影響しているのですか? 同じくセル境界の面積は,何に依存していますか? 成分は関係ありますか?
ねずみ(片状黒鉛)鋳鉄の凝固過程で生じる共晶セルは、鋳鉄が共晶凝固をするときの核生成・成長の単位となっており、接種のような不均質核生成を促進するような処理を施すと、共晶セル数は増加します。また、溶湯内にリン(P)を多く […]
鋳造時に発生する欠陥として,割れがありますが,高温割れと低温割れの違いや原因を教えてください.
高温割れや熱間割れといわれている割れは,凝固が完了する前に凝固収縮が型や鋳物自体の形状に起因して拘束されることで発生します.局所的に凝固が遅れる場合には,すでに凝固完了した部分が,最終凝固部を引張ることになるため割れや […]
球状黒鉛鋳鉄で, 引けの抑制に効くのは共晶凝固時の黒鉛晶出であり, 初晶の黒鉛は引け抑制効果が少ないのはなぜですか?
下の図1と2に示すように, ひけ巣は共晶成分で最も少なくなり, 過共晶では再び増します. 過共晶成分では, 状態図からも分かるように, 液相から直接初晶の球状黒鉛が晶出します. その後, 温度が下がるにつれ […]
鋳鉄ほどの炭素が含まれていれば,共析炭化物が大量にでると思うのですが,析出しないのはなぜですか.
ご質問の「共析炭化物」を共晶凝固後から共析変態開始直上までに生成するセメンタイト(Fe3C)と理解して説明します. 鉄―炭素状態図では,炭素(C)含有量2%を境に少ない方を鋼,多い方を鋳鉄と区別しています.さらに鋼はFe […]
黒心可鍛鋳鉄は強度や靱性を大きく改善している様ですが,球状黒鉛鋳鉄と比較してメリットはどのようなものなのでしょうか?
可鍛鋳鉄は,球状黒鉛鋳鉄が出現する前は最も強靭な鋳鉄として,パイプ継手,自動車のフレーム,歯車,建築金物,家庭用品,工具などに多用されていました.黒心可鍛鋳鉄は,フェライト基地に塊状の黒鉛が点在しており,片状黒鉛鋳鉄と […]