日本では,シェル中子に比べてコールドボックス中子の使用が少ないですが,どのような理由が考えられますか? また無機中子の普及は進みますか?

シェル鋳型の発明は1944年,コールドボックス鋳型は1966年です.生型システムは,主型は生型,中子はシェル鋳型やコールドボックス鋳型です.日本では,この中子にシェル中子を,欧米ではコールドボックス中子を主に使用します.この違いの理由は以下です.

(1)シェル鋳型は充填性などに優れています.日本では産官学で普及に取り組み,シェル鋳型砂用RCS製造設備が国内に普及しました.その後,生型廃棄砂を焙焼再生してRCS原料砂とする循環型産業構造になりました.これらの初期投資費用は高く,欧米では普及しませんでした.代わりに,初期投資費用の低いホットボックス中子が普及しました.

(2)熱硬化のシェル鋳型やホットボックス鋳型は造型時の環境負荷が高く,解決のため,常温硬化のコールドボックス鋳型が発明されました.当時のコールドボックス鋳型は,吸湿劣化しやすく,湿度の高い日本では普及せず,湿度が低い欧米で普及しました.

現在の無機中子は,脱水硬化水ガラス鋳型をベースに発明されたもので,吸湿劣化の短所があります.また,耐火度が低く,アルミニウム合金鋳物では無塗型で良いのですが,鋳鉄では塗型が必要になることがあります.湿度の低い欧米では,アルミニウム合金鋳物用として既に普及しています.無機中子は環境負荷が小さく,日本でも普及を進める必要があり,吸湿劣化や耐火度の対策・改良が行われています.(『鋳造工学』96巻7号掲載)