鋳鉄の引け巣試験をしたいと思っていますが、試験片の形状について教えてください.
一般に,「鋳鉄ではひけ巣は発生しない」としていますが,実際にはひけ巣が問題となることがあり,これに関する研究報告も数多く発表されています.
引け性の実験には,アルミニウム系では円錐形の試験片を用いたりしているようですが,鋳鉄では使いにくいと思います.これまでの報告で,球形,立 方体など形状を工夫したり,押湯寸法を変えたりした例がありますが,得られた数値(ひけ面積,体積,比重など)が何を意味しているか,実際の鋳物との関係 をどう考えればよいかなど,はっきりした結論を得た例は少ないようです.
ひけ性の実験をされるのであれば,何を調べたいか目的をはっきりさせることが大切です.ひけ巣の発生する要因として,鋳造方案,溶湯の化学成分, 鋳型の強度などが挙げられ,これらおのおのについての報告も数多くあります.これらをよく調べて,場合によっては自分で独自の形を考案することも必要かも しれません.
データを検討するときには思い込みや偏見は禁物ですが,自分の考えに沿って,はっきりとした結果を得られるように実験方法を考えることも大切 なことと思います.幸い,鋳造技術者であればほぼ思い通りの形を作ることが可能ですから,この特権を十二分に生かしてください.