ひけ巣は,どうして厚肉部や交差部の中心付近に出るのですか? その対処法は?

まずひけ巣が発生するメカニズムを考えます.鋳型に充填された溶湯は,温度の低下とともに液体収縮を起こします.

冷却が進んで凝固が始まると固体収 縮が起こりますので,足りない分の体積は液体側から補給することになります.凝固が進むにつれて液体側からの補給量が増加していきますが,凝固が終わりに 近づくと液体の残分が足りなくなるため補給ができなくなり,足りない分は空間となります.この空間がひけ巣です.ひけ巣はこのように発生するため,ひけ巣 は最終凝固部に発生します.

厚肉部や交差部の中心にひけ巣が発生しやすいのは,これらの部分が最終凝固部だからです.逆に,ひけ巣が発生するのは最終凝固 部ですので,厚肉部や交差部でなくとも,最終凝固部であればひけ巣が発生する可能性があります.

ひけ巣をなくすためには,最終凝固部を製品外に移動させればよいので,押し湯や冷やし金を利用し,最終凝固部を押し湯などの製品外に移動させる方 法が効果的です.また,注湯温度を下げて液体収縮分を減らすことも効果的です.

鋳鉄の場合には,凝固時に黒鉛が晶出して体積膨張を起こすため,この体積膨 張を上手に利用することでひけ巣をなくすことも可能です.