Al-Si合金などは、ひけ巣を設計上ではどのように考え,現場ではどのような対応をしているのでしょうか? また,存在するひけ巣の検出方法とその評価方法はどうしているのでしょうか
アルミニウム合金は凝固収縮が大きいため,ひけ巣が生じやすくなります.ひけ巣があると機械的性質が低下したり,リーク不良を起こしたりします.このため,ひけ巣は無いに越したことはありません.製品を設計するときには,できる限りひけ巣の生じないような形状となるように設計します.なるべく肉厚一定に設計したり,厚肉部になりそうなときには,裏から肉を盗んだり,加圧ピンを設置したりします.しかし,どうしてもひけ巣が避けられない形状となる場合があります.そのような場合には,製品機能上問題が生じない部位にひけ巣が生じるような形状と鋳造条件を設定します.設計図面には「有害な巣無きこと」などといった注記がされることがありますが,製品機能上有害でないものはあってもやむを得ないということになります.
鋳物外部に生じるひけ巣は目視で確認できますが,内部のひけ巣を検出するためには,X線CTなどを使用するのが一般的です.最近の設備は性能が良くなっており,0.5mm以下の内部欠陥も検出できるようになってきています.しかし,量産する全ての鋳物を検査するわけにはいきませんから,製品開発時にどの程度のひけ巣まで許容できるのかを耐久試験などで確認しながら生産条件を決定し,条件管理を行うことで品質を保証します.製品機能にかかわる特性については,リークテストなどの検査を行い品質保証します.また,内部欠陥や強度については,定期的に抜き取り検査を行います.
(『鋳造工学』89巻10号掲載)