アルミ材料の特徴としてリサイクルできるということですが,リサイクルの方法にはどのようなものがありますか?
アルミニウムに限らず,ほとんどの金属はリサイクルが可能で,地球環境にやさしい材料といえます.アルミニウムはボーキサイトを原料として,多大な電力を必要とする電解製錬によって製造されます.しかし,アルミニウムスクラップを溶解・再生するときのエネルギーは,新地金を製造するときのエネルギーの3.3%といわれており,リサイクル性に優れた材料です.
アルミニウムスクラップのみを分離できれば,溶解し,成分調整することにより,再生アルミニウムとして使用することができます.しかし,自動車部品のようにアルミニウムだけでなく,種々の材料を組み合わせて使用している場合には,アルミニウムとそれ以外の材料を分離し,さらにアルミニウムの展伸材と鋳物・ダイカスト材に分離する必要があります.
自動車部品を例にとると,解体業者で,エンジン,トランスミッション,ラジエータ,フードなどの主要なアルミニウム部品が取り外された後,シュレッダ処理されます.シリンダブロックやフードのように,材質がわかっているものについては,ボルトなどの異種材料や塗装をとった後,それぞれの材料に再生します.
シュレッダラインでは,鉄と非鉄金属との分離のために,風力選別,磁力線別,渦電流選別,比重選別などが行われています.シュレッドスクラップから展伸材と鋳物・ダイカスト材の分離技術については,種々の方法があります.成分の相違に起因する融点差を利用したホットクラッシュ法,薬液との化学反応に伴う発色性の差異を利用したカラー選別法,レーザ誘導型発光分光分析を用いるレーザ選別法,2種類のX線を用いるX線選別法などがあります.
詳細な技術内容については,下記の文献を参考にしてください.
大瀧光弘:軽金属 59(2009) 612
(『鋳造工学』90巻7号掲載)