私の職場では無機中子を使用し低圧鋳造アルミ合金鋳物を製作していますが,原因不明の中子折れが多発しています.今一番怪しいのは中子のなりより性だと思うのですが,なりより性の測定方式などは何があるのでしょうか?

 なりより性とは,鋳型に溶湯が注入されて,凝固すると同時に収縮しますが鋳型が鋳物の収縮に応じて,ともに収縮に応じてくれる性質をいう用語で可縮性とも言います.これは非常に重要なことで,もしこの性質がないと鋳造品は肉の薄い部分で割れたり,中子折れ不良が発生します.

 試験機として,英国,米国ではBCIRA(英国鋳物研究所)が開発した熱間たわみ試験機(Hot Distortion Tester)を用いて測定していますが国内では各RCS・粘結剤メーカーが独自の方法で行っています.手順は決められた寸法の鋳型を造型後,熱間・冷間,酸化・還元雰囲気にて鋳型の変位量をレーザー変位計等で測定します.熱間の場合は,加熱器等で800℃まで加熱し,加熱による鋳型の変位量を測定します.

 強度,破壊時のひずみはバインダーの種類,量及び,鋳物砂の熱膨張量によって変わりますが,一般的に常温でのなりより性は有機に比べ,無機中子は小さい傾向があります.

参考文献:鋳物第66巻(1994)第7号517-522

(『鋳造工学』91巻8号掲載)