学会表彰のひとつである「日下賞」は,今後の活躍が期待される若手の研究者・技術者に贈られる賞です.2024年度に日下賞を受賞された方々の研究内容や今後の目標等を今号からのシリーズとして,1~3号で紹介します.第3回目は株式会社進藤鋳造鉄工所の進藤寛也さんです.
皆様こんにちは,株式会社進藤鋳造鉄工所の進藤と申します.この度は,日下賞という身に余る光栄な賞をいただき,さらにはYFEだよりを執筆させていただくことになり,恐縮至極でございます.
2011年9月に家業である進藤鋳造鉄工所に就職し,早いもので12年が経過しました.学問としては高専にて機械工学を専攻しておりましたが鋳造については授業の一コマの僅かな時間で行っただけで,その後も経済学,情報工学,電機開発と鋳造の世界とは全く異なることを行ってきました.鋳造に深く興味を持つようになったのは2017年に室蘭工業大学の清水教授から鋳造カレッジに誘われたことでした.翌年2018年には上級カレッジを受講したことで理解が深まるのと同時に相談できる仲間ができたことで自社トラブルが発生した時にスムースに解決する事ができ,事業の好循環となっております.

図1 機械工場全景
またカレッジでの御縁もあり金型鋳造の実験,研究にも踏み込むことができました.すべての製品を金型化することは経済的に非合理的と考えていますが,当該プロセスによる溶湯管理は砂型で生じるチル化の解消,組織の正常化にも役立つものと考えており,研究によりさらなる高品質化に寄与することができると確信しております.
弊社は創業時より精密機械加工に力を入れているため,金型の製造を自社で行えることで金型鋳造への抵抗感が小さかったことも幸いしております.今後も引き続いて金型鋳造に関する研究を進め,日本のものづくりに関する技術的な問題の解明に実験および理論の両面から力をいれていきたいと思っています.

図2 金型鋳造にて急冷された組織
近年の工学技術の飛躍的な高度化,様々な分野が融合した複合技術の増加等により,自分一人の知識・経験,研究室所有の設備では対応できないことが多くなってきています.特に,理工学分野横断的な取り組みが必要な課題が増えている中で,様々な分野の研究者の助けやアドバイス受けつつ,独自の知見やアイデアを導入し研究を進める機会は益々増えると考えています.
最後になりますが,皆様のご指導・ご助言を基に研究を遂行し,受賞に至りました.紙面を借りて,御礼申し上げます.この賞を励みに,また,受賞に恥じないよう,微力ながらではございますが,鋳造分野に貢献できるように日々精進していく所存です.今後ともご指導よろしくお願い致します.
連絡先
株式会社進藤鋳造鉄工所
進藤 寛也
〒080-2462 北海道帯広市西22条北1丁目5-5
TEL:0155-37-2445
E-Mail:hiroya_shindo(at)shindo-fi.co.jp*(at)を@に変換してください