亜鉛合金ダイカストの経年寸法変化はよく知られているのですが,アルミニウム合金ダイカストの経年寸法変化は起きるのでしょうか
亜鉛合金ダイカストの経年寸法変化は,粒間腐食により寸法変化が起こり比較的大きいため,よく知られております.
アルミニウム合金ダイカストの場 合,粒間腐食が起こることはないので経年寸法変化は亜鉛ダイカストに比べればごく小さいですので,一般的には寸法変化は起こらないとされております.しか しながら,一般的に用いられるADC12合金(またはADC10合金)は,銅やマグネシウムが含まれている時効析出型の合金であるため,時効により微小に 変化します.
そのため,寸法が安定化するまで放置してから使用するか(自然時効),200℃程度でT5処理をし過時効させること(人工時効)で,寸法の安 定化を図るのが良いと思います.求められる精度や使用される環境によって放置時間や熱処理時間を変えることが望ましいと思います.比較的高温環境で使用さ れるのであれば,銅やマグネシウムを含まないADC1合金などを用いるのもいいかと思います.
また,ダイカストの場合には,残留応力が残っていますので経年寸法変化と言うよりは形状変化が起こります.その場合にも,200℃程度のT5熱処理を行うことで寸法を安定化させることが出来ます.