ダイカスト製品でイヌキ穴の中が引けております.何が原因で何を対策したらよいのでしょうか?
ダイカストでは鋳抜き穴を形成するために鋳抜きピンを使用します.鋳抜きピンが細い場合や,湯口から流入する溶湯が直接当たる場合,ピンが溶湯で加熱され,ピン回りが最終凝固部になります.そして製品の肉厚が厚い場合に鋳抜き穴に引 […]
FC(ねずみ鋳鉄)に,お酢などを使用して意図的に錆びさせてその錆を磨き,野菜クズなどを炒めて熱し,油を塗る(熱する・油を塗る工程は何度か行う)と,一度錆びさせたことで油の染込みが良くなって錆びにくくなるという効果は期待できるでしょうか?
「錆びにくくなるという効果」とありますので,最初に南部鉄瓶の防錆法について簡単に説明します.南部鉄瓶のお湯が入る内面の防錆は酸化皮膜で,模様のある外面は漆(うるし)の皮膜で防錆しています.内面の酸化皮膜(黒錆,Fe3O4 […]
成分分析装置もなく温度計もなかった古い時代に,鋳物師達はどうやって鋳鉄鋳物の溶湯性状を判断したのでしょうか.
昔の鋳鉄鋳物師達は,湯面模様によって溶湯性状を判断したと考えられます.キュポラ鋳鉄溶解では,溶湯性状が良くなるにつれて,湯面模様が笹の葉状から,麻の葉状,亀甲状へと変化していく事が知られています(図1の(a),(b),( […]
マグネシウム合金は不純物が多いと腐食しやすいので,AZ91合金はD規格を使用しておりますが,構内で再溶解してリサイクルできますか?
構内リサイクルですが数点注意して頂ければ十分可能です.外部で行っているリサイクル工程では,フラックスを使用してマグネシウム合金内の酸化物除去を行うと共に再溶解に低下するAl,Mn及びBe成分の補正(添加)と上昇傾向にある […]
ヨーロッパでは30年前からワイヤー球状化処理が用いられていますが,日本では最近どうなっているのでしょうか?
日本でも近年,鋳鉄の球状化処理のためにワイヤー法が注目を集め,採用,または導入を検討する鋳物工場が増えています.それには下記の理由があると思います. 第一に『処理装置の発展』です.爆発的な球状化処理反応にも耐えうる装置が […]
実際の鋳物では指向性が取れていてもひけ巣が発生することがあります. ちょうどいい指向性というものはあるのでしょうか?
凝固時のひけ巣発生の主要因として、溶湯の体積収縮と溶湯に溶け込んだガスが挙げられます。熱は鋳型の内部から外側へと流れることから、鋳型に流入した溶湯は外面が早く凝固し、内側の凝固は遅れることになります。金属は凝固時に数% […]
CV鋳鉄はFC(片状黒鉛鋳鉄)とFCD(球状黒鉛鋳鉄)の両方の特性を持っていますが,あまり普及されていません.どうしてでしょうか?
FCVは,コンパクティッド・バーミキュラ鋳鉄(芋虫鋳鉄)と呼ばれ,高強度のFCD(ダクタイル鋳鉄)と被切削性に優れたFC(片状黒鉛鋳鉄)のイイトコ取りとして注目され,現在量産品では油圧バルブ,ディーゼルエンジンブロック […]
ダイカストの破断チル層は重大な欠陥となりますが,合金系によりできやすかったりできにくかったりするようです.どうしてなのですか?
破断チル層は,射出スリーブ壁で冷やされた溶湯が凝固し,晶出した凝固層が射出により金型内に巻き込まれ製品内に入ったものです.射出スリーブ壁に沿った凝固層であるため,製品内で直線状または曲線状の界面を有す組織になります. […]
鋳造シミュレーションの精度はどの程度でしょうか? 特に生産前はなかなかシミュレーションで予測することが難しいのですが,世の中のレベルはどの程度なのですか?
鋳造シミュレーションでは,予測すべき現象が,湯流れ,伝熱,凝固にまたがり,欠陥予測に関しても湯流れ,伝熱・凝固,溶湯成分,不純物,介在物などに起因するもの,またその位置や大きさなど様々あり,一概に精度を論ずるのは困難です […]
鋳造品は欠陥があって当たり前というものなのでしょうか?
「欠陥」という言葉の定義が曖昧ですが,「破壊の起点になる可能性があるもの(「きず*」)」と考えると,たとえ非常にミクロ的な格子欠陥,非金属介在物(酸化物,硫化物,炭化物など),微細なき裂やひけ巣でも,それが破壊の起点に […]