球状黒鉛鋳鉄の黒鉛はどうして球状になるのですか?
これまでのところ球状黒鉛鋳鉄の黒鉛がどのようにして球状になるのかについて統一された理論にまでには確立されていません. (i)核説(ii)過冷 説(iii)表面エネルギー説(iv)吸着説(v)転位説(vi)気泡説など,いく […]
長時間保持された溶湯でつくられる鋳物は,化学組成が同じでも「チルが出やすい」,「引けが出やすい」のはなぜですか?
この問題を理解するためにはFe-C系平衡状態図を理解する必要があります. すなわち,Fe-C系状態図で黒鉛共晶温度Tec,白銑(チル)共晶温 度Tezはそれぞれ1154℃,1148℃といわれています.両者間の温度差⊿Tc […]
ひけ巣は,どうして厚肉部や交差部の中心付近に出るのですか? その対処法は?
まずひけ巣が発生するメカニズムを考えます.鋳型に充填された溶湯は,温度の低下とともに液体収縮を起こします. 冷却が進んで凝固が始まると固体収 縮が起こりますので,足りない分の体積は液体側から補給することになります.凝固が […]
電気誘導炉で溶かされた湯は原材料の成分に近いですが,キュポラの場合はC,P,Sなどが増えるのはなぜですか?
一般的に「誘導炉」には低周波,高周波という分け方と,るつぼ型,溝(チャンネル)型という分類があります.どちらにしても,容器の中に材料を入れて加熱 (厳密にはジュール熱,自己発熱)するもので,コップの中に水と塩を入れて温め […]
ブローホール対策の一環として冷し金の適切な清掃や使用回数の設定/管理等が必要だと思いますが,なかなか情報がありません.冷し金の適切なメンテナンスについて教えてください.
確かに,“誰も聞かない,言わない”で,教科書的情報はありませんね.まず,冷やし金によるブローホールの発生原因から考えてはいかがでしょうか? ①冷やし金部位は溶湯が急冷されるために,溶湯表面の酸化被膜と共に空気も巻き込んで […]
FCD450の黒鉛球状化率の算出で困っています。画像解析処理を使わず球状化率を算出する方法を教えてください.
超音波の伝播速度(音速)や共振周波数,打音試験などの非破壊試験があります. 測定条件と精度の関係から現場で普及しているのが音速法です.音速 (V )は,伝播媒体となる鋳鉄品のヤング率(E ),密度(ρ)からV ∝ √(E […]
電気誘導炉で鉄原に銑鉄を使用するとひけ傾向が緩和されるのはどうしてですか? 銑鉄が白銑組織の場合と黒鉛が晶出している場合とでは違うのですか?
難しい質問です.銑鉄を使用すると,ひけ傾向がどう変わったか,ということを定量的に示した文献をあまり見たことがありませんが,現場的にはありそうな話です. 日本では,鋳鉄製造時には一般的に鋼屑を使用しますが,いろいろな事情か […]
なぜセメンタイト(Fe3C)をチルと呼ぶのですか? パーライトはフェライトとセメンタイトの積層組織と聞きましたが,このセメンタイトもチルなのでしょうか.
チル組織中のセメンタイトとパーライト中のセメンタイトを理解するには,Fe-C系状態図での安定系,準安定系状態図を見ていただく必要があります.図1にFe-C系状態図(炭素10wt%まで,標準状態)を示します. 図1 F […]
熱処理すると鋳物の機械的・物理的性質が大きく変わると教わりましたが、アルミ合金や銅合金の鋳物では少なく鋳鉄だけ大きいのはどうして?
鋳鉄は室温ではフェライトとパーライトと黒鉛からなる組織ですが,これを熱処理して室温からゆっくり加熱するとオーステナイトと黒鉛の組織になります.こ の状態から冷却すると,共析反応によってオーステナイトがフェライトと黒鉛にな […]
鋳鉄の坩堝型誘導炉(3倍周波~500Hz)の500kg~2トンの炉材としてシリカ質のドライスタンプ材が使われているようですが,天然シリカと溶融シリカの違い,硼酸の添加量について教えてください
一般的に,誘導炉用酸性スタンプ材には天然シリカと電融シリカがあります. 天然シリカ材は天然シリカ:100%,電融シリカ材は天然シリ カ:50~80%・電融シリカ:20%~50%で形成され,両材質ともに硼酸0~数%を含みま […]