電気誘導炉で鉄原に銑鉄を使用するとひけ傾向が緩和されるのはどうしてですか? 銑鉄が白銑組織の場合と黒鉛が晶出している場合とでは違うのですか?

難しい質問です.銑鉄を使用すると,ひけ傾向がどう変わったか,ということを定量的に示した文献をあまり見たことがありませんが,現場的にはありそうな話です. 日本では,鋳鉄製造時には一般的に鋼屑を使用しますが,いろいろな事情か […]

続きを読む
なぜセメンタイト(Fe3C)をチルと呼ぶのですか? パーライトはフェライトとセメンタイトの積層組織と聞きましたが,このセメンタイトもチルなのでしょうか.

チル組織中のセメンタイトとパーライト中のセメンタイトを理解するには,Fe-C系状態図での安定系,準安定系状態図を見ていただく必要があります.図1にFe-C系状態図(炭素10wt%まで,標準状態)を示します.   図1 F […]

続きを読む
熱処理すると鋳物の機械的・物理的性質が大きく変わると教わりましたが、アルミ合金や銅合金の鋳物では少なく鋳鉄だけ大きいのはどうして?

鋳鉄は室温ではフェライトとパーライトと黒鉛からなる組織ですが,これを熱処理して室温からゆっくり加熱するとオーステナイトと黒鉛の組織になります.こ の状態から冷却すると,共析反応によってオーステナイトがフェライトと黒鉛にな […]

続きを読む
鋳鉄の坩堝型誘導炉(3倍周波~500Hz)の500kg~2トンの炉材としてシリカ質のドライスタンプ材が使われているようですが,天然シリカと溶融シリカの違い,硼酸の添加量について教えてください

一般的に,誘導炉用酸性スタンプ材には天然シリカと電融シリカがあります. 天然シリカ材は天然シリカ:100%,電融シリカ材は天然シリ カ:50~80%・電融シリカ:20%~50%で形成され,両材質ともに硼酸0~数%を含みま […]

続きを読む
接種するとチルが消えるのはどうしてですか? さらにCrなどが高いとチルやひけ巣が出やすいのはなぜでしょうか?

鋳鉄は,二種類の共晶凝固の形態をとることが知られています.一つが鉄-黒鉛系で,もう一つが鉄−セメンタイト系です. 普通鋳鉄の場合,黒鉛系の共 晶温度の方がセメンタイト系より高いのですが,その差はあまり大きくなく,凝固時に […]

続きを読む
超音波伝播速度を測定すると鋳鉄の黒鉛球状化率がわかるのはなぜですか? 球状化率は%で音速はm/sですよね?

超音波の伝播速度(音速)や共振周波数,打音試験などの非破壊試験が有ります. この中で普及しているのが音速法です.音速(V )は,伝播媒体となる鋳鉄品のヤング率(E ),密度(ρ)からV ∝ √(E/ρ)・・・①で求めるこ […]

続きを読む
球状黒鉛鋳鉄用Y型供試材(Yブロック)の平行部から切り出した試験片の 機械的性質(引張強さ,伸びや疲労強度)は,切り出す位置で差が出ますか?

鋳鉄の機械的・物理的性質は,黒鉛形状と基地組織に依存しています.球状 黒鉛鋳鉄品の機械的性質は,JIS規格(JISG5502)のY型供試材の平行部であれば,JIS規格(引張強さ,伸び,衝撃値)の範囲ではどの位置から切出し […]

続きを読む
チルと引け巣との関係を教えてください

引け巣もチル(遊離セメンタイト)も凝固完了までに発生します.チルが出ると引け巣が出やすくなります.「どうしてか?」を以下に説明します. 鋳鉄の溶湯は,溶媒が鉄で溶質が炭素の溶液です.溶液の温度が低下すると溶質の溶解度が下 […]

続きを読む
なぜ鋳鉄は鋼に比べ,錆が進行しにくいのでしょうか?

鉄は水に接すると鉄イオン(Fe2+)となります.そして,水中の水酸化イオン(OH-)と反応すると水酸 化第一鉄(Fe(OH)2)ができ,さらに酸化が進行すると水酸化第二鉄(Fe(OH)3)が出来ます.これがいわゆる赤錆と […]

続きを読む
鋳鉄の成長とはどういう現象でしょうか.何故発生するのでしょうか.

鋳鉄に加熱・冷却を繰り返すと鋳鉄寸法が少しずつ大きくなる現象を鋳鉄の成長(生長)と云います. 片状黒鉛鋳鉄の寸法変化の方が大きいですが,球状黒鉛で も起こります.鋳鉄を加熱した後に元の温度に戻しても鋳物寸法は元に戻ること […]

続きを読む