鉄
「魔法のフライパン」や「南部鉄器」などの良いといわれる調理器具の鉄の組織とはどういうものでしょうか.また,急須やフライパンなどはなぜ表面が黒いものが多いのでしょうか?
一般的な調理器具として使われる「南部鉄器」の組織として,白鋳鉄は避けなければなりません.その理由として,繰り返しの熱により,器具が割れたりするためにチル化した組織にならないように注意します.したがって,一般的な組織は片 […]
パーライト組織はフェライトとセメンタイトが層状となっていますが,組織中のフェライトとセメンタイトは初析のフェライト,セメンタイトと同じでしょうか?
ある炭素鋼がA3またはAcm変態点以上の温度かつ,組織は全てγ相(オーステナイト相)であり,ここから徐冷を行うとします.冷却が進み,亜共析鋼(0.77wtC%未満)の場合,A3変態点に達すると,フェライト相が過共析鋼( […]
球状黒鉛鋳鉄の製造において,球状化剤や接種剤の効果を活かすには,どのタイミングでどのような方法で加えるといいのですか?
健全な球状黒鉛鋳鉄品を製造するのに必須な溶湯処理技術の基本に関する良い質問ですが,製造条件により正解がいくつもあり回答者泣かせな質問でもあります. さて,結論から言えば,①処理剤の効果を活かすには,「処理剤に最適な処 […]
FCDの黒鉛球状化率算出について質問です.JIS G5502では100倍の顕微鏡画像5視野から球状化率を算出することになっていますが,視野の広さについて記載がありません.正しく算出するためには少なくともどれくらいの広さの視野について観察するべきでしょうか?
画像解析装置が普及し,黒鉛球状化率が「金属顕微鏡-CCD(CMOS)カメラ-画像解析ソフト」(画像解析装置)により算出される現状において,今回の質問はシンプルですが重要です. 現行のJIS G5502での黒鉛球状化率 […]
フェライト基地を腐食すると結晶粒界がはっきり見えますが,パーライト基地では粒界が見えづらいのはなぜですか? パーライトは、隣接するセルが融合しているのですか?
片状黒鉛鋳鉄の凝固過程では,共晶凝固が完了するとオーステナイトと黒鉛の混在組織となり,やがて共析変態温度に達するとオーステナイトはパーライトに変態し,常温では片状黒鉛とパーライト基地で構成された組織になります.初晶オー […]
鋳鉄の溶湯は,金属なのに固まると非金属の黒鉛が出てきます.どうしてなのか教えてください.
鋳鉄は,鉄(Fe)と炭素(C)の合金であることはご了解のことと思います.このような合金は,溶媒(鋳鉄の場合は鉄)中に溶質(この場合炭素)が溶け込んでいると,溶媒の凝固温度が低下することがあります.さらに鉄の原子の結合(金 […]
ダクタイルはFCにくらべて,なぜ,ひけやすいのでしょうか
鋳鋼やアルミニウムなどは,凝固収縮を補うために大きな押湯を必要とします.しかし,鋳鉄では黒鉛晶出による体積の増加があるので,基地(鉄)が凝固時に収縮しても,それを上回る程度の膨張があって,そのためにひけがない,あるいは発 […]
亜共晶組成の方がチル化しやすいのですか?
まず,鋳鉄の溶湯は,塩水(水と塩)や砂糖水(水と砂糖)と同じような溶液である.鋳鉄の場合は高温の鉄(液体)と含有成分(C,Si,Mnなど)になる.ここでは炭素が液体の鉄の中に溶け込んでいる1500℃の溶液が凝固するまで […]
凝固条件や熱処理条件がわからない場合,マルテンサイトとソルバイトの組織の違いを見分けるのに,どのような点に注意を払えばいいのですか.
前号に続き,組織の違いについての質問である。マルテンサイトとソルバイトについても,金属顕微鏡を用いて400~700倍程度の倍率で観察するとよい。実際に,共析組成(0.8%C)の鋼材((株)山本科学工具研究社製)を用いて, […]
凝固条件や熱処理条件がわからない場合,上部ベイナイトと下部ベイナイトの組織の違いを見分けるのに,どのような点に注意を払えばいいのですか.
鉄鋼に関する書物を読んでいると,層状(ラメラ状),羽毛状,針状,笹の葉状,ラス状,レンズ状といった言葉が飛び交う.しかし,初学者にしてみれば,本文中に掲載されているイラストや組織写真を見ても,どの部分について説明されてい […]