鋳造工学会関東支部YFEでは,若手会員を中心に年間を通して様々な行事を開催しております.本報告では,2024〜2025年度に実施した「子供いもの教室」「施設見学会」「YFE勉強会」の3行事についてご紹介いたします.

○子供いもの教室(図1)

 「未来を見据えた鋳造人材の発掘」を目的に,小学生を対象とした鋳造体験イベント「子供いもの教室」を毎年開催しています.2025年度は,7月19日に東京都市大学の機械系基礎実験室にて実施し,地元の尾山台小学校から25名の児童が参加しました.

図1 子供いもの教室:校章とキャリアン

 本年度は,落花生の殻を半割りしたものや尾山台小学校の校章,マスコットキャラクター「キャリアン」を3Dプリンターで出力した模型を用いて砂型を作成し,純スズを用いて実際に鋳造を行いました.児童にとっては初めての鋳造体験でしたが,自分の手で作った砂型に金属を流し込み,完成品を取り出す過程に深く感動している様子が印象的でした.特に身近なキャラクターである「キャリアン」が鋳型から現れた瞬間,子供たちの目が輝いていたことが主催者として非常に嬉しく,イベント成功を実感する場面でした.
また,同会場の一角では余剰材料を使い,古銭の多数個取り方案にも挑戦.大人たちの間でも活発な議論が交わされ,「大人いもの教室」の様相を呈していました.

○施設見学会(図2)

 若手鋳造技術者の知見拡充と相互交流を目的とした施設見学会を,2024年12月3日に東京都立産業技術研究センターにて開催し,全国から8名が参加しました.
 見学では,ロボット技術,IoT,樹脂造形,金属造形,デジタイザといった,ものづくりを支える最先端技術の実運用を間近に見ることができ,参加者からは「業界の今後を見据えるうえで非常に有意義だった」との声が寄せられました.技術的な刺激のみならず,参加者間の意見交換や交流も盛んに行われ,技術者同士のつながりを深める貴重な機会ともなりました.

○YFE勉強会(図3)

 2025年2月26日には「もう一度詳しく聞きたい『鋳造工学』掲載Q&A(CAE編)」と題するWeb勉強会を開催し,全国から80名が参加しました.本企画は学会誌連載「Q&Aコーナー」との連動企画であり,2022年度の「アルミニウム編」,2023年度の「鉄編」に続く第3弾となります.

 今回は「CAE」に焦点を当て,大同大学の前田安郭先生より「鋳造CAEに対する質問内容の深掘り」と題した講演で,CAEの理論的背景と限界についてご説明いただきました.続いて,株式会社コイワイの橘洋志様からは,鋳造現場でのCAE活用事例の紹介がありました.さらに,一般社団法人日本ダイカスト協会の金内良夫様からは「組織と技術者倫理」に関するご講演を賜り,社会的な信頼と倫理の重要性について考える機会となりました.
今後も会員の皆様にとって有意義な企画を継続してまいります.取り上げてほしいテーマやご意見がありましたら,ぜひ関東支部YFEまでお寄せください.

連絡先
(公社)日本鋳造工学会 関東支部YFE
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