来月(2023年10月)に迫った第182回全国講演大会,6年振りの東北開催を待ちわびる東北から,この1年間の東北支部YFE活動を報告します.
東北支部では,YFEだよりを6県(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県)が輪番制で執筆しています.前回の山形担当(第90巻,第9号)では,第170回全国講演大会(2017年)に合わせて発行した東北支部会報第53号の特集記事「東北支部YFE」を紹介しました.あれから6年,近年はコロナ禍でもどかしい思いもしながらも,少しずつ明るい兆しも見えてきた1年間を振り返ります.
○第30回東北支部YFE大会
東北支部では,第90巻第9号でも触れたとおり温泉旅館で泊まりがけのYFE大会が恒例で,数々の伝説を生み出してきましたが(気になる方は東北支部ホームページからバックナンバーをご覧ください!),コロナ禍にあって,昨年度も3年連続のオンライン開催となってしまいました.
担当県:岩手県
日時:2023年3月2日(木)午後
プログラム:事例発表
「鋳造工場生産現場IoT導入によるスマート化」
北光金属工業㈱ 飛澤靖恵氏
「誘導加熱炉によるアルミニウム合金溶解の検討」
(地独)岩手県工業技術センター 岩清水康二氏
「南部鉄器工房における働き方改革の取り組み」
タヤマスタジオ㈱ 田山貴紘氏
鋳造工場のスマート化は,砂処理ラインのモーターやベアリング部にマイコンを取り付け,異常をセンシングした事例の報告でしたが,単に装置の設置やデータ処理手法に留まらず,社内の複数メンバーによるIoT技術の体験・理解を通じて,デジタル人材の育成へとつなげたことが印象的でした.また,アルミニウム合金の誘導溶解は,エネルギーコストやCO2低減等を狙いとし,迅速溶解と溶湯品質の両立について検討したもので,エネルギー価格高騰の今,非常にタイムリーな話題でした.さらに,地元岩手県の伝統工芸である南部鉄器工房の話題では,持続可能な若手職人育成の仕組みの構築に取り組んだ事例が報告されました.
いずれも参加者と同年代の若手が発表することもあり,気軽に質問したり意見を述べたりできることがYFE大会の良さとなっています.今年度こそ,対面での活発な議論と懇親の場が持てることを期待しています.
一人大会の運営にあたる東北支部YFE岩清水会長の後ろ姿.こんな光景は最後にしたいですね…….
○その他のYFE関連活動
東北支部YFEでは,支部行事への協力として夏期鋳造講座での1コマで事例発表等を担当しており,昨年度は岩手県工業技術センターの岩清水氏が非鉄鋳物についての講演を行いました.また,支部表彰の一つで,若手技術者に贈られる「金子賞」の選考をYFEが担当しており,昨年度は福島製鋼㈱の佐々木好美氏が,今年度は北光金属工業㈱の千葉雅則氏が受賞しました.さらに,各県で開催される子ども・学生向けの鋳物教室への協力も随時行っています.
今後とも,若手の一番身近な学会活動として,YFE活動を進めていきたいと考えています.
連絡先
(公社)日本鋳造工学会 東北支部YFE
株式会社ハッピープロダクツ 金内 一徳
〒990-2251 山形県山形市立谷川2-1213-1
TEL:023-686-4121
E-Mail:kanauchi.katsunori(at)happypdt.com
*(at)を@に変えて送信ください.